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進化論の否定論者がなぜ間違っているかをシミュレーションで説明してみた

ある調査によると、アメリカで進化論を信じている人は4割しかいないらしい。

キリスト教の影響が強いアメリカにおいて、進化論が公教育で教えられないのは有名な話だが、そういう宗教的バイアスのない日本においても、進化論に懐疑的な人は多い。 たとえば「進化論」でGoogle検索してみると、以下のような2chまとめスレが上位にヒットする。

これらの中には「多くの科学者が反対している」「いまだに進化論を信じてるのは日本人だけ」のような記述も見受けられる。 (もちろん嘘である。現代のまともな生物学者で、進化論を信じない者はいないと言っていい。)

典型的な進化論への反論は、「人類のような複雑な生命が誕生するには、時間が足りなすぎる」というものだ。 (お前は46億年という時間を体験したことがあるのか、と問いたくもなるが) 一般的に進化論の対案として主張されているのが、生命は何らかの知性によってデザインされたという「インテリジェント・デザイン説」である。


アンチ進化論としてよく挙げられる「インテリジェント・デザイン説」

これを感覚的に理解するために、JavaScriptを使って、ちょっとした「進化シミュレーター」を作ってみた。画面中央からスタートした「原始的な生命」が、右下の黄土色で示した「人類」に到達するまでどれくらい時間がかかるか、試してみてほしい。


【進化シミュレーター】

赤い点(原始の生命)が中央からスタートして、画面内をランダムに移動(突然変異)します。右下の黄土色の点(人類)に到達するまでをシミュレートします。 IE8以前では動きません。

どうだろう。きちんと「人類」が誕生するまで画面を見てる人はあまりいないと思う。筆者も何度かトライしたが、大抵5分(3000時刻)以上待ってもゴールしないことが多かった。 実際の生命世界の空間はもっとずっと広いため、たしかに46億年どころか1兆年かけても人類に到達しそうにない。

なるほどこういうシミュレーションを見ると「偶然の突然変異で人類が誕生するのは無理だ!」と思ってしまいそうだ。

しかしこういう考えが根本的に見失っているのは、生命の進化は「枝分かれ」をするということだ。そこで今度は、生命を毎秒1%の確率で「分裂」させてみた。


【進化シミュレーター(分裂あり)】

各時刻において、赤い点が1%の確率で分裂します。 やはりIE8以前では動きません。

今度はどうだろう。かなりあっさりゴールに達したものと思う。 なにしろどんどん増殖する生命が画面を「覆い尽くす」ので、必然的に人類のマス目も埋まるのである。

進化論否定論者が往々にして見失っているのは、この「画面を覆い尽くす」というイメージである。 そもそも彼らの根本的な勘違いは、進化を「原始的な生命から、複雑な生命に到達する過程」だと考えている点だ。 つまり進化を「線」だと思っているのだ。

しかし現実の進化は、この第2のシミュレーションに示したような「可能な生命のパターンを覆い尽くす過程」と言ったほうがいい。 つまり進化とは「面」の過程なのだ。

おそらく進化論に対するこのような誤解は、「人類は特別な生命である」という思い上がりから来ていると思われる。 だからこそ進化を「人類に至る過程」ととらえ、そのために進化を「線」だと思ってしまうのだろう。 ここはひとつ謙虚な心をもって「人類とは、可能な生命パターンの一つにすぎない」と理解しなければ、生命に対する科学的な理解は得られないだろう。

おまけ

増殖するだけで死なない生命っておかしくね? ということで、1%の増殖率に加えて、0.5%の死亡率を組み込んでみた。 ただし、これだけだと最初の生命がいきなり死亡して終了することが多いので、最初の生命を3個にした。

【進化シミュレータ(分裂あり、死亡あり)】